7月例会報告「キューバ訪問報告 2023 年末」
24年7月例会
「キューバ訪問報告 2023 年末」
7月例会は、キューバ友好訪問団（クバポン）として2002年～2019年まで毎年キューバを訪れ、2023年末4年ぶりにキューバを訪問された方の報告でした。以下はその旅程と報告の簡単な感想です。旅程は、2023年11月29日～12月7日移動も含めて計9日間。11月30日昼過ぎにハバナに到着。4年前は空港での入国手続きに2～3時間かかっていたのが、今回は、オンラインチェックインシステム、事前のQRコード取得で、時間がかからず入国でき、急速にデジタル化が進んでいるのを実感したとのことでした。ハバナの革命広場散策後、キューバ労働中央組織（CTC）ナショナルセンターを表敬訪問。CTCはキューバ労働者250万人の組織。自営業が増えていて、そこの組織化が課題となっています。女性3名（国際局長、次長、通信関係の産別部長）が迎えてくれ、今回はいつもの教育と医療とは違って、通信コンピューター関係、デジタル社会について説明を受けました。12月1日は車でサンタクララへ。カピーロの丘、ゲバラ博物館等を見学後、ポリクリニックを訪問。院長をはじめスタッフは全員女性で、女性がキューバの医療をリードしていることが実感できました。コロナ時は1日80名以上もの発熱患者の診察だったとのことでした。そこの医療スタッフに困っていることを質問すると、他のキューバの人と同じで、食料品が高くて給料では足りない、交通事情も問題があり通勤が大変、だがお互いさまなので皆で助け合っていると。これもすべて米国の経済封鎖によるものです。12月2日は、フェリーで6時間かけて青年の島へ移動。12月3日、日系人協会の会長らの案内で、第二次世界大戦中日系人男性が収容されたモデロ監獄を見学。日本人の残された家族も青年の島に渡ってきたことで、この島には日系人が多いとのことです。その後、農業現場視察。キューバは米（コメ）が主食で、米の生産性を上げる必要があります。2009年クバポンはODAの制度を利用して、中国製農機具300万円分を寄付しました。さらに農業指導員を半年間派遣。12月3日当日はフェリーが急に欠航になり、12月4日は予定外で青年の島のICAP（諸国民友好協会）を急遽表敬訪問することとなりました。日系人会と交流し、心のこもった昼食をごちそうになりました。夜行のフェリーで翌朝ハバナへ。帰りの飛行機の離陸時間が迫っているため、ハバナ市内に新設されたフィデル・カストロセンターでは写真撮影のみであわただしく帰路にといった行程でした。
４年前と比べてのキューバの変化は、2021年、兌換ペソと人民ペソの二重通貨が人民ペソに通貨統合されたことです。外貨の両替が公式ルートでは1ペソ5円ですが、闇ルートだと１ペソ1円と5倍の差があります。また、キューバでクレジットカード専用の店が増え、自国通貨でモノが買えなくなり、カードを持てる人とそうでない人との差ができたと感じます。キューバ政府は、カード決済（デジタル決済・仮想通貨ビットコイン）を推奨しています。これらは脱税防止と米国の経済封鎖から逃れ外貨を増やすための政策です。しかしより複雑となり実質三重通貨のようです。給料は5倍になりましたが物価が8倍になり、国民はインフレに苦しめられています。その上、物不足も以前に比べて深刻になっていて、配給があるので餓死者は出ませんが、配給以外は値段が高く、なかなか手に入らない状況。このように生活が苦しくなっているのに、キューバの人々は、政府に対する不満より、その原因が米国による経済封鎖であると理解していて、自分たちでいろいろやりくりしています。インフレで生活が苦しいので、副業をして足りない分を補っています。また日本の出稼ぎ感覚で家族の一人が外国に行って外貨を稼ぐなど、自分たちでいろいろ工夫し頑張っています。外貨収入で重要な観光もコロナ前の状態までは戻っていない印象です。
今回、現在のキューバの様子を聞いて、苦しい中でも助け合い工夫して生活しているキューバの人々、米国に対抗して踏ん張っていることに感銘を受けました。
【7月例会に参加された方から寄せられた感想】
自分自身が旅行に行った2016年、2017年と比べ、ずいぶんと変化を感じました。特にモノ不足は、ハバナでは自営業の増加でスーパーからモノがなくなった、品薄状態になったとのこと。「余分がないと資本主義は成り立たない」ということばが印象的でした。確かにアメリカの経済封鎖によって、歪んだ経済体制・モノ不足なのは大変なことですが、逆に言えば、「誰からも搾取がない」ということなのでは？と感じました。大量生産による労働者への搾取がなく、環境破壊も極めて少ない。もはや大量に生産して消費させ、資本家が儲けるというシステムがこの国では成り立たないのだと感じました。