23年9月 国連内外で躍動したキューバ大統領
23年9月、キューバのディアスカネル大統領がニューヨークの国連総会に乗り込み、国連内外で自信に満ち溢れたパフォーマンスを繰り広げました。この自信のバックボーンとなったのは、9月15・16両日キューバの首都ハバナで開かれた「G77+中国」首脳会議の成功でした。首脳会議は、全世界から116カ国の首脳が参集し、活発な討議が行われ、大成功を収めました(本サイトの記事をぜひ参照してください)。国連内外でのパフォーマンスでは、ディアスカネル大統領は、単にキューバ1国の国家元首というだけでなく、「G77+中国」の議長国として、つまり世界の途上国の代表という立場での発言・行動となりました。キューバの重みを全世界に誇示しました。
(その1)キューバ連帯デモ行進に飛び入り参加
「私たちとともにここにいてくれてありがとう」
(その1)では、このようなパフォーマンスのうち、全世界をもっとも驚かせた行動を紹介します。それは、9月22日に、国連の建物のすぐそばで行われていたキューバ連帯運動のデモ行進に、突如ディアスカネル大統領が飛び入り参加したのです。このデモ行進は、太鼓や楽器を勢いよく鳴らしながら、「キューバ イエス! 封鎖 ノー!」のシュプレヒコールをあげ、元気に国連の周りを行進していました。その時、スーツに身を包んだ集団が行進に近づいてきたのです。何の前触れもなく。そして、行進の人々が少し警戒する中、一緒になって、「キューバ イエス(シー)! 封鎖 ノー!」の声をあげました。それが、ディアスカネル大統領だったのです。さらにハンドマイクを握ると「姉妹、兄弟、皆さんの連帯に感謝します。支援に感謝します。そして、私たちとともにここにいてくれてありがとう。」と感謝の言葉を連呼したのです。デモ参加者はこう言っています。「それが大統領だとわかったとき……私は感動に打ちひしがれました」と。
(写真)キューバ連帯デモ行進に飛び入り参加したディアスカネル大統領
〇飛び入り参加の様子は以下のyoutubeで視聴できます。是非ご覧ください。
Orgullo! Dignidad! Valentía! Por el Presidente de #Cuba @DiazCanelB #CubaSiBloqueoNo – YouTube
〇「cubadebate」で、キューバ連帯行進にディアスカネル大統領が飛び入り参加した模様を紹介しています。以下がそのアクセス先です。
Díaz-Canel en calle de Nueva York: Amor del bueno hacia Cuba
(その2)国連総会で「G77+中国」議長国として発言
「キューバを常に頼りにしてください!」と結び
(その2)では、国連総会でのディアスカネル大統領の発言を紹介します。
(写真)国連総会で演説するディアスカネル大統領
発言では、冒頭「チェ・ゲバラが約60年前、まさにこの本会議場で語ったように、私は南の声、「搾取され、誹謗される者」の声をこの総会に届けます」から始まりました。「G77+中国」の議長国として、途上国を代表して発言することを宣言しました。そして、「現在の多次元的な世界危機、虐待的な不平等交換、科学技術格差、環境悪化の主な犠牲者が私たち(途上国)であるという事実」を述べ、そのうえで、そのような状況を変革するためにまず必要なのが「国際的金融アーキテクチャー」の変革であることを強調しました。次のように発言しています。「私たち(途上国)は施しを求めているのでも、便宜を図ってほしいと懇願しているのでもありません。現在の国際金融アーキテクチャーは極めて不公正で、時代錯誤的で、機能不全に陥っているのです。」「私たち(途上国)は、自国が実質的な意思決定能力を持ち、融資を受けられる金融機関を必要とし、要求しています」と。
そして、中東のドバイで開かれるCOP28を念頭に、気候危機対策では、「資源と環境を貪欲に捕食する先進国は、重大な責任を回避し、気候変動枠組条約とパリ協定の約束を反故にしています」と、先進国を鋭く批判しています。
(写真)国連総会で演説するディアスカネル大統領