2021年1月30日 八木啓代(のぶよ)さん講演会
たいへん申し訳ありません。
以下の企画は、延期になりました。
講演会の日程は、決まり次第案内します。
八木啓代(ノブヨ)さん 講演会
(題109回キューバを知る会・大阪)
日時:2021年1月30日 18時から20時
場所:西成区民センター(大阪メトロ 四つ橋線 岸里駅すぐ 堺筋線または南海 天下茶屋駅南西5分)
八木啓代さん プロフィール
八木啓代(ヤギ・ノブヨ)さんって誰?というのが正直なところでしょう。(もしあなたが知っているのであれば、あなたはかなりのラテン音楽通といえます)。
八木啓代さんは、ラテン音楽の中でもキューバ・チリ・アルゼンチンなどで民衆の歌を広めようとして始まった「新しい歌(nueva cancion)」運動の旗手たちの音楽を積極的に日本に広めている歌手です。現在では、歌手・エッセイスト・そして発言者の顔を持ちます。立てば歌い手、座れば作家、歩く姿は放浪者。座右の銘は「敵もできないような無難な人間になってはいけない」で、日本の安倍・菅政権の不正に積極的に抗議の声を上げています。
活動の始まりは、1980年代に交換留学生としてメキシコに語学留学したことがきっかけです。当時のメキシコは、チリやアルゼンチン等の軍事政権下での弾圧・虐殺を逃れ亡命してきた政治家、芸術家、ジャーナリスト達、またキューバのような革命樹立後であったり、エルサルバドルのような革命闘争真っ最中の国々からも多くの活動家や音楽家が集まり、カフェやバーで熱い議論と歌が常に飛び交っていました。まさにグツグツ煮えたぎる沸騰状態。八木さんがそのような人たちが集まるカフェやバーに出入りするうち、自然と「新しい歌」の大物との親交が深まっていきました。同時に得意のスペイン語に磨きがかかったのは勿論です。その歌声は「絹の声」とメキシコやキューバでは絶賛されています。特にその交流の幅がすごいのひとことです。キューバの新しい歌運動「ヌエバ・トローバ」の大物シルビオ・ロドリゲス(キューバ国民議会の副議長も務めた)やパブロ・ミラネス、チリのピノチェット反革命軍事独裁政権によって国外追放されたインティ・イジマニやアンヘル・パラ、ニカラグアのメヒア=ゴドイ兄弟等々数え上げればきりがありません。
また、著作も多数に上ります。『禁じられた歌』『危険な歌』『キューバ音楽』等で「新しい歌」の音楽と歌手を次々紹介しています。その紹介の仕方もその歌手の個性の全側面をあますところなく取り上げ、読んだひとにその歌手を丸ごと好きになってくれるようにと工夫されています。
音楽や歌だけでなく、中南米の人達の陽気で楽天的な生き方を紹介している『ラテンに学ぶ幸せな生き方』も珠玉の作品です。この作品のプロローグは「日本に帰ってきて・・ものすごく雰囲気が暗いんですよ。・・・ペルーの若い人で仕事がないからって、自殺する人なんていません」、「なぜ彼ら(ラテンの人々)は幸せなのでしょう?」という問いかけで始まります。答えは是非本を読んでみつけてください。
驚いたことに八木さんの作家デビューはなんとキューバ旅行のガイドブック。一旦出版社に断られながらも、1カ月にわたるキューバ個人旅行を敢行し、ようやく出版にこぎつけた、日本で初めてのキューバ旅行のガイドブックです。現在キューバ旅行記が日本で多数出版されている、その先駆をなしたものです。
そして、八木さんの姿勢を最も端的に表しているのが最新のツイッターです。そこには、昨年11月当選を決めたモラレス大統領が軍・警察・右翼の軍事クーデターで国外追放を余儀なくされた南米ボリビアで、今年10月に行われた「出直し」大統領選挙で、モラレスの後を受け継いだ社会主義志向運動(MAS)のアルセ候補が圧倒的大勝利をあげたことに「アルセ、おめでとう」の言葉が添えられています。更にギターを弾きながら民衆と一緒に歌っているアルセ新大統領の動画も同時にアップしています。興味のある方は、是非そちらものぞいて見てください。
<追伸>
八木さんが著作の中でよく取り上げる超有名な歌のエピソードを紹介します。
① 『コンドルは飛んでゆく』
中南米のフォルクローレとして最も有名な曲。サイモンとガーファンクルの甘い抒情的メロディーで、誰もが一度は口ずさんだことがある名曲。実は、1913年発表の曲と同名のオペレッタでのテーマ曲で、このオペレッタの内容は、アメリカの所有する鉱山で働く労働者が団結し、立ちあがり、革命を起こそうとする内容です。まさに革命歌なのです。
② 『ラ・クカラチャ』
これも陽気なメロディーでとても有名な曲。クカラチャはスペイン語でゴキブリを意味します。この歌は、20世紀初めのメキシコ革命に参加した女性たちを歌った歌で、台所で忙しく働く女性たちを愛情込めて“ごきぶり”と呼んでいます。これもまさしく革命歌です。