5月3日憲法記念日にキューバ医療のミニ特集
5月3日憲法記念日に、フジテレビニュースジャパンでキューバ医療のミニ特集があり、以前NNNドキュメント『幸せの指標』で取り上げられたキューバ医療と老人ホームが紹介され、日系一世の島津さんが取材されていました(中野健太さん取材)。なんと島津さんは105歳。社会から大切にされ、最期まで尊厳をもった生き方が保障されていることが伝わってきます。
以下、番組ホームページより。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00245346.html
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医療大国キューバの恩恵を受ける105歳の日系人を取材しました。
カリブ海に浮かぶ島国・キューバは、医師の数が日本の3倍近くいる世界有数の医療大国です。
ここに、最後の日系1世である105歳の男性が元気に暮らしています。
キューバの首都ハバナから南へ300km、フベントゥ島。
1898年、日本人農業移民が入植。
現在、およそ1,100人の日系人が暮らす。
その多くが、この島で農業に従事した。
島津 三一郎さん(105)は、日系移民1世最後の1人。
日系農業移民最後の1人、島津 三一郎さんは「わしゃあ、生まれは、新潟県新発田」と話した。
19歳で新潟県からキューバへ渡り、91歳になるまで、スイカやトウモロコシを育ててきた。
今では、島一番の長寿となった島津さん。
85年間、一度も帰国したことのない祖国。
忘れたことはない。
島津さんは「県立新発田中学校(旧制)、そこの校歌。蒲城の東五十公野の大空高く聳ゆるはこれぞ吾々学生が教を受くる校舎なる」と校歌を口にした。
家族がいない島津さんは、老人ホームで暮らす。
そんな島津さんの日常から見えてくるのは、医療大国キューバの素顔。
社会主義国のキューバでは、教育と医療費は無料となっている。
医療で利益を得ることは目的としていない。
キューバ革命後、カストロとチェ・ゲバラが真っ先に取り組んだのが、教育と医療だった。
島津さんの診察が始まった。
診察しているのは「ファミリードクター」と呼ばれる診療所の医師。
キューバの医師の数は、10万人あたり681人で、日本の3倍となる。
地域医療の軸になるのは、ファミリードクター制度。
カルテは、ファミリードクターが一元的に管理し、大きな病院に転院しても、同じカルテが使われる。
全国1万3,300カ所の地域診療所に勤務するファミリードクター。
全患者の80%に対応し、地域住民の健康に責任を持っている。
病状が重い場合は、地域病院が治療を行い、高度医療は総合病院で行われる。
最高度医療は、研究所が対応する。
レベルに応じた医療機関の役割が、明確に定められている。
キューバ医療の中核をなすファミリードクターが心がけていることがある。
ファミリードクターのエレナ・ゴンザレス医師は「医療は予防に重点を置いています。患者が重症化しないよう、常に予防するという心がけが、結果的に国の医療費の削減にもつながります」と話した。
島津さんが暮らす地域の老人ホームに、食事の時間がやってきた。
3度の食事と3度のおやつ付き。
島津さんの食欲は旺盛。
たばこも、1日20本支給されている。
24時間、医療スタッフが看護をし、2日に1度は専門医の診察も受ける。
病気の際は、施設内の個室で治療を受け、病状が重ければ、近所の総合病院で治療を受ける。
島津さんは「ここは一生50年、100年、1銭もいらないところ。世界にない、んなもんない。そらな、感謝、ハイ」と話した。
施設の1カ月の費用は40ペソ、およそ200円。
これは、老人年金の6分の1。
島津さんは「日本と違います。養老院」と話した。
島津さんは2013年、体調を崩した。
しかし、早期に病院で治療し、2週間の入院を経て、住み慣れた老人ホームに戻ることができた。
マグダリス・ソリア副施設長は「この老人ホームは、さまざまな背景を持った家族のいない身寄りのない老人が集まっています。ベッドや部屋も、亡くなるまで確保されています」と話した。
島津さんのベッドは、生涯保証されている。
105歳の島津さんには居場所がある。
今の目標は、きわめて明快。
島津さんは「アイ・ケ・ビビル(生きなければならない)」と話した。
社会主義国のキューバでは、医療行為でもうかるシステムになっていない。
患者が減ることが、全ての人にとって幸せなのだという。
105歳の島津さんも、そんなキューバ医療の恩恵を受ける1人。
島津さんは「日本にお帰りで? さようなら。三一郎・島津は、130歳まで生きております」と話した。
曲がり角に立つ日本の医療。
その行く末を考えるうえで、大きなヒントがある。
キューバは資源が少ないため、中南米のベネズエラ、ボリビアといった国々に医師を派遣するなど、医療を外交にも利用しています。
また、医療水準を高めるため、医学部の学費は無料。
そしてこのルールが留学生にも適用されるため、社会主義の国々から優秀な学生が集まるということです。